法務・ビジネス英語

法務の英語は何から勉強するか|契約書・メール・会議のうち、一番大変なのは会議

公開
執筆ベン弁護士・英検1級・UK育ち

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法務の仕事で英語を使い始めたとき、一番大変だったのは英文契約書ではありませんでした。一番大変なのは、英語の会議で話すことです。 契約書とメールは、AIを使いながら量をこなせば、読めるようになり、書けるようになります。会議で話す力だけは、AIでは代わりがききません。

この記事では、弁護士として英語を使う実務に携わってきた立場から、法務で使う英語を3つに分けて、何から勉強すればいいかを整理します。

法務の英語は、3つに分けて考える

法務で使う英語は、英文契約書、英文メール、英語の会議の3つに分けると、勉強の優先順位がはっきりします。 それぞれ、必要な力も、AIで補える度合いも違うからです。

場面必要な力AIで補える度合い鍛え方
英文契約書正確に読む力大きい(下訳・要約)量をこなす。最後は自分で原文を読む
英文メール失礼なく、誤解なく書く力大きい(下書き・添削)AIの下書きを、自分の目でトーンまで確認する
英語の会議その場で聞いて、話す力小さい人と話す回数を重ねる

表のとおり、契約書とメールは、AIの助けを借りながら自分で仕上げることができます。会議は、その場で相手の話を聞き取り、すぐに返す必要があるので、AIに任せられる部分がほとんどありません。

英文契約書:量をこなせば読めるようになる

英文契約書が読めるようになるには、とにかく量をこなすことだと思います。 私自身、特別な勉強法があったわけではなく、実務で契約書を読む量を重ねるうちに読めるようになりました。

量をこなしていくと、契約書にはよく出る型があることがわかってきます。定義条項、表明保証、責任制限、準拠法といった条項は、契約の種類が違っても構造が似ています。型が見えてくると、初めて読む契約書でも、どこに何が書いてあるかの見当がつくようになります。

今は、AIで下訳や要約を作ってから読むこともできます。ただ、義務を表す shall と裁量を表す may の違いのように、一語で意味が変わる部分は、AIの訳が自然な日本語であるほど見落としやすくなります。最後は自分で原文を読む、という前提は変わりません。

契約書を読む順番や、長い一文の読み方は、次の記事で書いています。

英文メール:AIで下書きし、トーンは自分で確認する

英文メールは、AIで下書きを作り、自分の目で仕上げる形で十分対応できます。 文法や言い回しの正確さは、AIにかなり任せられるようになりました。

ただし、トーンの確認は自分でする必要があります。丁寧にしようとして回りくどくなる、逆に直接的すぎて強く聞こえる、といったずれは、AIの下書きでも起こります。法務のメールは、相手との関係や交渉の状況によって、どこまで強く言うかを調整する場面が多いので、ここは人が判断するところです。

英文メールでよくあるずれは、英文メールで信頼を落とす5つのミスにまとめています。

英語の会議:一番大変で、一番時間をかけるべき

法務の英語で一番時間をかけるべきなのは、会議で話す力です。 契約書とメールはAIで補えても、会議はその場で聞いて、その場で返すしかありません。

法務の会議では、交渉の条件を詰める、相手方の弁護士と論点を確認する、社内の事業部門に説明する、といった場面があります。どれも、準備した内容を読み上げるだけでは済みません。相手の発言を聞き取り、その場で質問し、反論し、合意点を探る必要があります。

準備でできることもあります。話す内容を台本にしておく、議題に出そうな用語を調べておく、自己紹介では担当領域をはっきり伝える、などです。ただ、テンポの速いやり取りや想定外の質問には、人と話す回数を重ねて慣れるしかありません。

英検・TOEICは、正直そこまで役に立たない

法務の実務で英語を使う力を伸ばすうえで、英検やTOEICのような資格は、正直そこまで役に立たないと思います。 資格の勉強で身につく力と、契約書を読む力や会議で交渉する力は、重なる部分はあっても同じではないからです。

それでも、資格に意味がないわけではありません。

  • 対外的な証明になる:英語を使う仕事を任せてもらうとき、英語力を客観的に示す材料になります
  • 留学のアピールになる:海外のロースクール(LL.M.)などへの出願では、英語力を示すスコアが求められることがあります

つまり、資格は「英語を使う機会を得るための証明」として役に立つものです。実務の英語力そのものを伸ばすには、契約書を読む量と、会議で話す回数を増やすほうが近道です。

会議で話す練習を、仕事の場面に合わせてする

会議で話す練習は、自分の仕事の場面に近い内容でやるほど効果があります。 一般的な英会話の練習では、交渉や論点の確認のような場面がなかなか出てこないからです。

自分の仕事の場面から教材を作りたい場合

ReSparkは、公式サイトによれば、職種や会社、実際に英語を使う場面をもとに教材が作られ、ネイティブコーチと英語の会議や商談を想定して話すセッションがあるとされています(2026年10月21日に確認)。専属の日本人コーチが毎日の報告に返信する仕組みです。無料カウンセリングはオンラインで60分です。

法務のように、使う場面がはっきりしている仕事ほど、合っているかを判断しやすいサービスだと思います。

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ビジネスの場面に絞った英会話で、回数を重ねたい場合

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まとめ

  • 法務の英語は、英文契約書・英文メール・英語の会議の3つに分けて考えます
  • 英文契約書は、量をこなせば読めるようになります。AIで下訳しても、最後は自分で原文を読みます
  • 英文メールは、AIで下書きし、トーンは自分で確認します
  • 一番大変なのは会議で話すことです。AIでは代わりがきかないので、ここに一番時間をかけます
  • 英検・TOEICは実務の力を伸ばす手段としては限定的ですが、対外的な証明や留学のアピールにはなります

法務の英語は、読む・書くはAIと量で、話すは人との練習で。勉強の時間は、会議で話す力に一番多く配分してください。