「英語を話せます」と言えないのはなぜか|調査で8割が同じだった
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「英語、話せますか」と聞かれて、素直に「はい」と答えられる人は多くありません。
私自身、聞かれるたびに少し迷います。イギリスで5年過ごし、英検1級も持っていて、仕事でも英語を使っています。それでも「話せます」と即答することには、いまだに抵抗があります。
この感覚が自分だけのものではないことが、最近の調査で数字として出ていました。
調査の数字
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が2026年9月15日に公表した調査です。現在英語学習を行っている10代から60代の男女1,024人を対象に、2026年8月4日から5日にかけてインターネットで実施されています。
結果はこうでした。
- 85.8%が週に1日以上の頻度で学習している
- 71.3%が、日常的なトピックについて会話が続けられるレベルだと自覚している
- しかし、人に自信を持って「英語を話せる」と言える人は19.7%にとどまる
さらに踏み込んだ数字があります。「複雑なトピックについて会話できる」と回答した人であっても、72.6%は自信を持って「英語を話せる」と言い切れないという結果でした。
仕事や専門的な話題まで英語でやり取りできる人の7割が、「話せる」と言えずにいる。これは能力の問題ではないということです。
なぜ言えないのか
調査では、背景に周囲との比較意識や、間違えることへの不安といった心理的なハードルがあると指摘されています。
心当たりがあります。私の場合、「話せます」と言った瞬間に、ネイティブと同等の水準を期待される気がするからです。
実際には、仕事で必要なやり取りはできます。契約の交渉も、会議での発言も、英文メールも問題ありません。それでも、雑談で聞き取れない瞬間はあるし、言いたいことが出てこないこともある。その経験があると、「話せます」という言葉が自分の実態より大きく聞こえてしまう。
つまり、「話せる」の基準を自分で高く設定しすぎているわけです。
この自己評価は、仕事では不利に働く
ここからが本題です。
謙虚であること自体は悪くありません。ただ、仕事の場面では、この自己評価の低さが実害を生みます。
機会を逃す
英語を使う案件があったとき、「自分には無理だ」と手を挙げない。結果として経験を積む機会が減り、さらに自信がなくなる。この循環に入ると抜け出しにくい。
実際には、求められている水準はそれほど高くないことが多い。「ネイティブ並み」ではなく「業務が回る」で十分な場面がほとんどです。
会議で黙ってしまう
「自分の英語は不正確だから」と発言を控える。これは英語の会議で話せない理由でも書いた問題ですが、原因の一部はこの自己評価にあります。
内容として言うべきことがあるのに、英語の精度を気にして黙る。会議では、黙っている人は意見がない人として扱われます。文法が多少崩れていても、発言したほうが評価されます。
わかったふりをする
間違えることへの不安が強いと、聞き返すこともできなくなります。「もう一度言ってください」と言うこと自体が、英語力の低さの証明のように感じてしまう。
これは実務で最も危険です。英文契約書で主体を読み違えるのと同じで、確認しなかったコストは後から確実に跳ね返ってきます。
基準を2つに分けるとラクになる
対処法として、私は「話せる」の基準を2つに分けて考えるようにしています。
基準A:ネイティブと対等に、どんな話題でも支障なく話せる
この基準なら、私は「話せません」。おそらく大半の日本人学習者も同じです。
基準B:必要な場面で、必要なやり取りができる
この基準なら「話せます」。仕事で使う範囲なら、問題なく回ります。
普段使うべきは基準Bです。基準Aを持ち続ける限り、何年勉強しても「話せる」には到達しません。そして到達しないまま、機会を逃し続けることになります。
調査で7割以上の人が「日常会話以上できる」と自覚していながら「話せる」と言えないのは、基準Aで自分を測っているからだと思います。
自己評価より、客観的な指標を持つ
もう一つの対処法は、自分の感覚ではなく外部の指標を使うことです。
TOEICのSpeaking Testのようなスピーキングを測るテストを受ければ、自分の位置がスコアとして出ます。なお、IIBCによれば、2026年の「TOEICの日」(10月19日)はTOEIC Speaking Testをテーマにした企画が予定されており、同日に公式TOEIC Listening & Reading 問題集13の書籍版が発売されるとのことです。
スコアがあれば、「話せますか」と聞かれたときに感覚ではなく事実で答えられます。「スピーキングは◯点です」と言えば、相手も水準を判断できる。自己評価の揺れに左右されません。
英検1級を取ったときも同じことを感じました。資格そのものより、自分の位置を外から確認できることに意味があった。
感覚を埋めるには、話す回数を増やすしかない
最後に、身も蓋もない話をします。
自己評価が低いのは心理の問題ですが、実際に話す回数が足りていないケースも多いはずです。週に1回も英語を口から出していなければ、自信が持てないのは当然です。
イギリスで5年過ごした経験で書いたとおり、文法や単語は後から取り戻せますが、対人でのやり取りの能力は使わないと薄れます。そして薄れたことは自分では気づきにくい。
対処は単純で、話す機会を週単位で固定することです。オンライン英会話でも英会話カフェでも、形式は問いません。
具体的な選択肢は英語コーチングの料金の見方と費用を抑えて話す場を作る方法で整理しています。
まとめ
- IIBCの調査では、日常会話以上できる人が71.3%いる一方、自信を持って「話せる」と言える人は19.7%
- 複雑なトピックを扱える人でも、72.6%は「話せる」と言い切れない
- 原因は能力ではなく、基準の設定と心理的なハードル
- 「ネイティブ並み」を基準にすると、永遠に到達しない
- 仕事では「必要なやり取りができるか」で判断すればいい
- 感覚に頼らず、スコアのような外部の指標を持つと揺れなくなる
- そのうえで、話す回数そのものを増やす
「話せます」と言えないことに、罪悪感を持つ必要はありません。ただ、それが理由で機会を逃しているなら、基準のほうを見直す価値があります。