英会話の費用は経費になる?|会社員・個人事業主・役員で答えが違う。自己負担を減らす3つの方法
本記事には広告を含みます。制度の内容は国税庁・厚生労働省の公式サイトで、サービスの内容は公式サイトで2026年10月25日に確認したものです。本記事は一般的な情報であり、個別の税務・法律についての助言ではありません。具体的な判断は、税務署や税理士、勤務先の担当部署にご確認ください。
英会話や英語コーチングの費用が経費になるかどうかは、立場によって答えが変わります。 会社員の場合、自分で払った英会話の費用を「経費」として差し引くことは基本的にできません。ただ、会社の補助、特定支出控除、教育訓練給付金という3つの方法で、自己負担を減らせる可能性があります。個人事業主や役員の場合は、仕事との関係を説明できるかどうかが分かれ目です。
この記事では、立場ごとに、何ができて何に気をつけるべきかを整理します。
会社員:まずは会社の補助を確認する
会社員が英会話の負担を減らすなら、最初に確認すべきは会社の補助制度です。 3つの方法のうち、手続きが一番簡単で、金額も大きくなりやすいからです。
私自身、以前の職場で補助を使い、ベルリッツに半年ほど通っていました。英語を使う仕事の会社では、語学研修の補助や、自己啓発の支援制度が用意されていることが少なくありません。
補助を使う前に、社内の規程で次の点を確認しておくことをおすすめします。
- 対象になるスクール・サービス:指定のスクールに限られることがあります
- 補助の上限と割合:全額か一部か、年間の上限はいくらか
- 申請のタイミング:申込前の承認が必要な場合、後からでは補助が出ません
- 修了条件:出席率や試験のスコアが条件になっていることがあります
- 退職した場合の返還:一定期間内に退職すると、補助の返還を求める規定が置かれていることがあります
最後の返還の規定は、見落とされやすいところです。こうした規定の有効性は、労働基準法との関係で個別に判断されることがあり、一律には言えません。ただ、少なくとも転職を考えている時期に補助を使うなら、事前に規程を読んでおくべきです。
会社員:特定支出控除は、使える人が限られる
会社員でも、一定の条件を満たせば、研修費を所得から差し引ける制度があります。 「給与所得者の特定支出控除」です。
国税庁の説明によれば、対象になる特定支出の一つに「研修費」があり、職務に直接必要な技術や知識を得るために研修を受ける支出とされています。ただし、次の条件があります。
- 職務の遂行に直接必要なものとして、給与の支払者(またはキャリアコンサルタント)の証明が必要
- 控除されるのは、特定支出の年間合計額が給与所得控除額の2分の1を超えた部分だけ
- 会社から補填され、その部分に所得税が課税されていない部分は対象外
- 教育訓練給付金が支給される部分も対象外
- 確定申告が必要(明細書と証明書を添付)
2つ目の条件が大きなハードルです。給与所得控除額の2分の1は、年収によっては数十万円になります。英会話の費用だけでこの基準を超えるのは、簡単ではありません。他の特定支出(通勤費、資格取得費など)と合わせて超えるかどうか、という制度だと考えておくのが現実的です。
会社員:教育訓練給付金は、対象講座なら使える
教育訓練給付金は、厚生労働大臣の指定を受けた講座であれば、受講費用の一部が戻ってくる制度です。 会社の補助と違い、雇用保険の制度なので、勤務先に制度がなくても使える可能性があります。
厚生労働省の案内によれば、一般教育訓練給付金の内容は次のとおりです。
- 支給額は、教育訓練経費の20%(上限10万円)
- 初めて受給する在職者は、受講開始日に雇用保険の被保険者で、支給要件期間が1年以上あること
- 受講修了日の翌日から、原則1か月以内に申請する
注意したいのは、どの英会話スクールでも使えるわけではないことです。指定を受けた講座だけが対象で、同じサービスでもコースや期間によって対象かどうかが変わります。また、受け取れるのは修了後なので、最初に全額を支払う必要があります。
英語コーチングでは、プログリットが3ヶ月と6ヶ月のコースで給付金の対象とされています(公式サイトによれば上限10万円、修了認定基準あり)。給付金を差し引いた総額は、英語コーチングの総額比較ツールで期間別に確認できます。
個人事業主:本業に役立つ内容かどうかが分かれ目
個人事業主の場合、英会話の費用が経費になるかどうかは、事業との関係を説明できるかで決まります。 弁護士として相談を受けたら、私が最初に確認するのは、そのスクールやサービスの内容が本業に役立つものかどうかです。
- 経費として説明しやすい例:海外の取引先とのやり取りが実際にある、英語の契約書や資料を扱う、ビジネス英語に特化した内容を受講している
- 説明しにくい例:事業で英語を使う場面がない、旅行や趣味の英会話が中心
経費にする場合は、後から説明できるように記録を残しておくことが大切です。
- 申込書・領収書など、支払いの記録
- 受講したコースの内容がわかる資料
- 事業で英語を使っていることがわかる記録(海外との取引、英文の資料など)
勘定科目は「研修費」などで処理されることが多いようですが、扱いは事業の内容によって変わります。判断に迷う場合は、税理士や税務署に確認してください。
法人・役員:役員個人のための受講は注意が必要
法人が役員の英会話費用を負担する場合は、業務に必要な研修と言えるかどうかが問題になります。 業務との関係が説明できれば、法人の研修費として扱える可能性があります。一方で、業務との関係が説明できない場合は、役員個人への経済的利益(役員給与)として扱われる可能性があります。
会社の規程として研修の制度を定めておく、受講の目的と業務との関係を記録しておく、といった準備をしておくと、後から説明しやすくなります。
契約前に確認すること
立場ごとに確認すべきことをまとめると、こうなります。
| 立場 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 会社員 | 会社の補助制度(対象、上限、事前承認、返還の規定) |
| 会社員 | 受講したい講座が教育訓練給付の対象か、自分が支給要件を満たすか |
| 会社員 | 特定支出控除の基準額を超えそうか(他の支出と合わせて) |
| 個人事業主 | 受講内容が本業に役立つか、それを説明できる記録を残せるか |
| 法人・役員 | 研修の規程があるか、業務との関係を説明できるか |
どの方法を使う場合でも、受講料の総額と、途中でやめた場合の返金の条件は契約前に確認しておいてください。補助や給付金は、修了が条件になっていることが多く、途中でやめると受け取れない場合があります。途中解約で戻る金額の目安は、途中解約の返金の目安ツールで計算できます。
英語コーチングの料金の決まり方は英語コーチングの料金は何で決まるか、プログリットの給付金と返金保証の条件はプログリットの料金と返金保証で詳しく書いています。
まとめ
- 英会話の費用が経費になるかは、立場で答えが変わります
- 会社員は「経費」にはなりませんが、会社の補助・特定支出控除・教育訓練給付金で負担を減らせる可能性があります
- 最初に確認すべきは会社の補助制度です。退職時の返還の規定も読んでおきます
- 特定支出控除は、給与所得控除額の2分の1を超えた部分だけが対象で、使える人は限られます
- 教育訓練給付金は、指定講座なら受講費用の20%(上限10万円)が修了後に戻ってきます
- 個人事業主は、本業に役立つ内容かどうかと、それを説明できる記録が分かれ目です
- 法人が役員の費用を負担する場合は、業務との関係が説明できないと役員給与として扱われる可能性があります
自己負担を減らす方法は、申し込む前にしか選べないものが多くあります。会社の規程と講座の対象を、契約の前に確認してください。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務・法律の判断を示すものではありません。