英検・資格

英検準1級と1級の差はどこにあるか|語彙・読解・英作文・二次で分解する

公開
執筆ベン弁護士・英検1級・UK育ち

準1級に合格した人が、そのまま1級の勉強を始めて苦戦する。よくあるパターンです。

原因は、準1級と1級では、求められている能力の種類が一部変わるからです。難易度が一段上がるだけなら、同じ勉強を積み増せば届きます。実際には、同じやり方では届きません。

この記事では、分野ごとに何が変わるのかを分解します。

全体像:量の差と質の差

先に整理すると、分野ごとの変化は次のようになります。

分野変化の性質対策の切り替えが必要か
語彙量の差(覚える範囲が大きく広がる)やり方は同じ。量を増やす
読解量と密度の差大きな切り替えは不要
英作文質の差(求められる論証の水準が変わる)必要
二次試験質の差(形式が別物になる)必要

切り替えが必要なのは英作文と二次試験です。ここを準1級の延長で進めると止まります。

語彙:範囲が広がるが、やり方は同じ

語彙は、最もわかりやすく差が出る分野です。1級の語彙問題では、日常的な読書やニュース視聴では出会いにくい語が出ます。

ただし、対策の方法自体は準1級と変わりません。頻出度の高い順に、回転数を上げて覚える。それだけです。

準1級との違いは3点です。

  • 覚える語数が大きく増える
  • 文脈からの推測が効きにくい。似た意味の選択肢が並ぶため、正確な語義が必要
  • 短期間では仕上がらない。日々の積み上げが前提になる

ここで注意したいのは、語彙対策に時間を吸い取られることです。1級の語彙問題は難しいので、つい多くの時間を割いてしまう。しかし配点構造から見れば、語彙だけで合否は決まりません。

語彙は「毎日決まった時間に、決まった量」で固定し、余った時間を英作文に回すのが合理的です。

読解:長くなり、密度が上がる

読解は、準1級からの延長線上にあります。文章が長くなり、抽象度が上がりますが、求められる読み方は大きく変わりません。

準1級で読解に苦労しなかった人なら、1級でも大きくは崩れません。ただし次の2点は変わります。

  • 時間の余裕がなくなる。分量が増えるため、読む速度がそのまま点数に効く
  • 設問が言い換えで作られる。本文の表現をそのまま探しても見つからない

対策としては、時間を計って解く練習を増やすことが最優先です。読解力そのものより、時間配分のほうが失点の原因になりやすい。

英作文:ここで質が変わる

準1級と1級で最も性質が変わるのが英作文です。

準1級では、与えられたトピックについて自分の意見を書き、ポイントを使って構成すれば形になります。1級では、社会的なトピックについて、論理的に主張を組み立てることが求められます。

具体的に変わるのは次の3点です。

扱うトピックが抽象的になる

準1級は身近な話題が中心ですが、1級は環境、教育制度、テクノロジーと社会、国際関係といった領域に広がります。

日本語でも意見が固まっていないテーマについて、英語で書くことになる。ここが最初の壁です。英語力の問題ではなく、内容を持っていないことが原因で書けません。

対策は、トピック領域ごとに使える論点と具体例をストックしておくことです。環境問題なら3つ、教育なら3つ、という形で用意しておけば、初見のトピックでも組み合わせて対応できます。

理由の掘り下げが求められる

準1級では「理由を2つ挙げる」で成立しますが、1級では理由がなぜ成り立つのかまで書く必要があります。

「経済成長につながるから」で止めず、「なぜそれが経済成長につながるのか」「その結果どうなるのか」まで展開する。1つの理由に2〜3文を割く感覚です。

反対意見への言及が効く

自分の立場だけを述べるより、反対意見に触れたうえで再反論する構成のほうが、論証としては強くなります。

  • Some argue that… However, this overlooks…

この型を1つ持っておくと、内容の厚みが出ます。

二次試験:形式が別物になる

二次試験の差は、準備の量に直結します。

準1級はイラストを使ったナレーションと質疑応答ですが、1級は与えられたトピックについて2分間のスピーチをし、その後に質疑応答があります。

つまり、自分で内容を組み立てて2分間話し続ける必要がある。準1級の対策をいくら積んでも、この形式には慣れません。

やるべきことは英作文とほぼ同じです。

  • スピーチの型を固定する(導入、理由2つ、結論)
  • 分野ごとの論点と具体例をストックする
  • 声に出して、時間を計って練習する

英作文で準備した内容が、そのまま二次試験の材料になります。だから1級では、英作文対策を早く始めた人ほど二次も楽になる。

逆に、一次試験の合格発表後に二次対策を始めると、時間が足りません。準備期間が短いうえに、形式そのものが初めてだからです。

準1級から1級へ切り替えるときの順番

以上を踏まえると、1級の勉強を始めるときの順番はこうなります。

  1. 英作文の型を作る。準1級の書き方では足りないと認識するところから
  2. トピック領域ごとに論点をストックする。日本語で考えてから英語にして構わない
  3. 語彙を毎日のルーティンに組み込む。まとまった時間は使わない
  4. 読解は時間を計って過去問を解く。新しい教材は増やさない
  5. 書いた英作文を声に出す。二次対策を並行させる

最初にやるべきは語彙ではありません。ここを逆にすると、語彙帳を1周した頃に英作文の準備ができていない、という状態になります。

まとめ

  • 準1級と1級の差は、語彙と読解では「量」、英作文と二次では「質」
  • 語彙はやり方を変えず、量を積む。ただし時間を吸われすぎない
  • 読解は時間配分が失点の主因。読解力そのものより速度
  • 英作文は、抽象的なトピックへの論点のストックが必要
  • 二次試験は形式が別物。一次通過後からでは間に合わない
  • 英作文の準備が、そのまま二次試験の準備になる

独学での進め方の全体像は、英検1級に独学で合格するまでの記事でも整理しています。

二次試験の対策で、実際に英語を口から出す機会が足りない場合は、英語を話す場をどう確保するかもあわせてご覧ください。